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遠藤書店 夏の文庫100冊 【15】

休みだから、いつもより時間はあるけれど
ピーピーなる洗濯機やら、メールの着信音やら
にいちいち中断されて、大作に挑むのは
ちょっとムリ…そんな主婦仕事に追われる皆様に捧げる1冊。

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『婦人家庭百科辞典 三省堂百科辞書編集部編』 上・下
ちくま学芸文庫 2,500円

コンパクトな文庫版の百科辞典は場所とらずで狭い台所でも
便利♪ ―というより、資料的価値の高い復刻版。
2005年に出たばかりですが、すでに新刊では品切れになって
しまっていますし、古本でもあんまり見ない文庫です(増刷されにくい
タイプの本じゃないかなぁ…)。

元は昭和12年に刊行された戦前のご婦人向けの啓蒙的百科
辞典。死語もたくさん。知っている言葉でもどひゃーと仰天
させるような説明がついていたり、ぱらぱらページをめくる
楽しみがあります。本当におもしろい用語がたくさんあるのですが
それは買ってからのお楽しみ。…あまり出し惜しみするのも
なんだから、大して面白くないところからひとつご紹介。

「八時間労働制」

労働時間を一日八時間、一週間四八時間に制限する制度で
 ~中略~ 欧米各国ではこれが実施をみているが、我国では
未だ一般的に承認されていない。

(うーん、まだまだ昭和は近い、かな…)


さて、百科辞典を読む面白さを疑似体験するならこちら。

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『脅威の百科事典男 世界一頭のいい人間になる!』
A・J・ジェイコブズ著 文春文庫 490円

著者は「エスクァイア」誌の編集者。
昔はそこそこカシコいつもりだったのに、30半ばではっと
気がつきゃ、扇情的なテレビにうつつを抜かす己の堕落
ぶりよ。あぁ、なんてこと!知を取り戻すんだ!
どうやって?知の宝庫ブリタニカ百科辞典を読破して!!

というようなお話です。Aの項目から徐々に読み進めて
いき、本当に最後の項までたどりつくのは天晴れです。
一緒に読んでいるように、新しい知識にドキドキします。

文庫ながら、700ページ弱とボリューム満点ですが、
とにもかくにも活字への愛で満ち溢れており、読ませます。
書庫のサイズも省みず、ついブリタニカを取り寄せたくなって
しまうかも。

この本に関して興味深い話をみつけたので、
翻訳者である黒原敏行氏のブログをリンクしておきます。

Raven's Nest 出版翻訳者:黒原敏行
 ニューヨークタイムズの誤訳話

こ、これはものすごいオチ……今日はいろんな意味でぎゃふんな本を
ご紹介させていただきました。(あ2)

本日までのご紹介…31/100冊
by endoushoten | 2008-08-06 15:54 | 今日の1冊
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